旅先で出逢ったときめきの瞬間
北海道小樽への旅行が決まったとき、「ガラス工芸な盛んな小樽なら、ガラスペンに出逢えるかも…!」と、ひそかに楽しみにしていました。
お土産屋さんが立ち並ぶ通りを歩きながら、何軒かガラスペン売り場をハシゴ。
その中で出逢ったのが、「北一ヴェネツィア美術館」。
1階がミュージアムショップになっていて、イタリアのヴェネツィアンガラスが扱われていました。
店内にはヴェネツィアのゴンドラまで展示されていて、20年前にイタリアを旅したときの思い出がよみがえるような空間で、なんだか懐かしい気持ちに。
対応してくださった店員さんもガラスペン愛が伝わってくる方で、いくつか試し書きをさせてもらいながら、じっくり選ぶことができました。
わたしが選んだのは、ブルーが印象的な夏限定カラーのガラスペン。
まるで真夏の青空に、まぶしい陽射しがとけ込んだみたいで、「この子がいい!」と一目惚れでした。
飾るだけで満足していたけれど、やっぱり書いてみたいかも
帰ってからしばらくは、ガラスペンを眺めては満足していたのですが…
やっぱり書いてみたいかもと思い、本屋さんへ。
いくつかのガラスペンの本を手に取り、最終的に選んだのは…
櫻井志保著『はじめてのガラスペンレッスン帳』ホビージャパン、2025年。
この本に決めた理由は、本のデザインに一目惚れしたこと。
さらにB5版より少し大きいサイズで、書き込みやすそうなのもポイントでした。
中を開いてみると…
- 日本語・英語のレタリング文字
- プチイラストの描き方
- 四季の花やメッセージカードなどの作例もたっぷり
レタリングがやってみたくてガラスペンを買ったけれど、実はイラストにも憧れてたんだよな…と思い出して。
わたしは絵を描くことに非常に苦手意識があるのですが、なぞることで描けるならできるかも、と思わせてくれた1冊です。
インクとの出会い
旅先で買ったインクは「夜の小樽運河」で、ミッドナイトブルーのような、黒に近い深い青。
でも、もう少しカラフルな色も気になってきたので、セリアでガラスペン用のインクを購入してみました。
10種類くらいあって、どれにするかしばらく迷い…オレンジ、オリーブ、ターコイズブルーの3色をチョイス。
さらに、水筆も追加で購入。
もし続けられそうなら、次はラメ入りインクにも挑戦したいな。
「花文字」をえがくのが楽しみ!
本に載っていた、花のモチーフとアルファベットを組み合わせた「花文字」。
お気に入りのガラスペンで、旅の思い出をなぞるようにえがいていくのが楽しみです。
今後は、実際にこの本で練習してみた感想も紹介していこうかなと思います。
旅先で出会ったガラスペンをきっかけに、また新しい楽しみがひとつ増えました。
ガラスペンは日本生まれだった!?
本を読んでいて驚いたのが、ガラスペンが日本発祥の筆記具だったこと。
明治時代、風鈴職人さんが開発したのがはじまりなんだそうです。
造形の美しさと繊細さに感動していたけれど、まさか日本生まれだったなんて…!
海外の万年筆やカリグラフィーに憧れていたわたしにとって、「このペンは日本の美意識が生んだものなんだ」と知ったとき、なんだか嬉しくなりました。
明治の職人の手から生まれた「書くためのガラス」。
背景を知ると、ガラスペンを使う時間がより特別なものに感じられる気がします。
記憶をつないでくれたガラスペン
実はこの記事を書いている途中で、わかったことがありました。
小樽の北一ヴェネツィア美術館の建物が、ヴェネツィアの「グラッシィ宮殿」をモチーフにして建てられたものだったこと。
ヴェネツィアを訪れた2008年当時は、まだ書くことの楽しさもガラスペンの存在も知りませんでした。
ただ、撮った写真を改めて見返してみると、同じ建物がカメラに何枚もおさめられていて…
もしかして「グラッシィ宮殿」?と思ったのですが、「パパドポリ宮」という別の宮殿で、2013年から「アマン・ヴェネツィア」というホテルになっていることがわかりました。
こうしてガラスペンをきっかけに、20年前の写真を再び目にしてみると、その時の気持ちが蘇ってくるようで…不思議ですね。
そして、何より過去の記憶をたどって、また旅気分が味わえたことが嬉しくて。
記憶って、時を超えてふいに巡り合うことがあるんですね!
最後に、ヴェネツィアで撮った写真とわたしがお迎えしたガラスペンをご紹介します。

遠い旅の記憶と、いま手元にあるガラスペンが、ひとつの線で繋がった気がしています。